前回の記事では、シキミ畑に寒冷紗を張るための骨組みとして、単管パイプ+ワイヤー方式を採用した理由についてまとめました。
今回はその続きです。
「単管パイプとワイヤーを使う」と決めたものの、次に考えなければならなかったのが、
- 単管パイプをどこに立てるのか
- 寒冷紗をどの高さに張るのか
- ワイヤーをどのように張るのか
- 2m幅の寒冷紗をどう配置するのか
- 長いワイヤーや寒冷紗の垂れ下がりをどう抑えるのか
- 強風時に寒冷紗をどうするのか
という、設備全体の設計でした。
最終的には、実際の畑の形や作業性、強風への対応などを考えながら設計し、現在はこの形で寒冷紗設備を運用しています。
この記事では、約1反のシキミ畑に実際に作った寒冷紗設備の設計と構造を記録しておきます。
今回の設備で重視したこと
今回の寒冷紗設備を設計するにあたり、特に重視したのは次の点です。
- 寒冷紗の下で人が作業できる高さを確保する
- 畑全体を単管パイプだけで組まず、ワイヤーを活用する
- 2m幅の寒冷紗を複数列に分けて張る
- 長いワイヤーや寒冷紗が中央で垂れ下がりすぎないようにする
- 強風や台風時には寒冷紗を畳める構造にする
単純に「寒冷紗を張れればいい」というだけではなく、普段の農作業と強風への対応を両立できることを目標にしました。
寒冷紗を設置する畑の条件
まず、今回寒冷紗を設置する畑の条件です。
栽培しているのはシキミ(樒)。
約1反の畑に、およそ2,000本を植えています。
植栽間隔は約60cm×60cmです。
シキミは今後も剪定しながら比較的低く管理する予定ですが、寒冷紗を低い位置に張りすぎると、剪定や防除などの日常作業がしにくくなります。
また、畑全体を覆う設備になるため、
「寒冷紗を支えられればいい」だけではなく、人が中に入って普通に作業できること
も重要な条件にしました。
寒冷紗の基本高さは約2m
寒冷紗は、基本的に地上から約2m程度の高さに張る設計にしました。
理由の一つは作業性です。
シキミの上ギリギリに寒冷紗を張れば、使用する単管パイプを短くでき、風の影響も抑えられるかもしれません。
しかし、それでは寒冷紗の下で人が作業しにくくなります。
実際の畑では、
- 剪定
- 防除
- 施肥
- 水やり
- シキミの状態確認
など、寒冷紗を張った状態でもさまざまな作業を行います。
そのため、人がある程度余裕を持って入れる高さを確保しました。
一方で、高くしすぎれば単管パイプにかかる負担や風の影響も大きくなります。
そこで、作業性と設備強度のバランスを考え、両端部分は地上約2mを基本としました。
ただし、後述するように、畑の中央部分だけは寒冷紗の垂れ下がりを抑えるため、約2.3mまで高くしています。
単管パイプだけで屋根を作らず、ワイヤーを使う
今回の設備で特徴的なのが、寒冷紗を支える部分まで全て単管パイプで組んでいないことです。
基本となる骨組みには単管パイプを使用し、その間をワイヤーでつなぎ、ワイヤーで寒冷紗を支える構造にしました。
畑全体を単管パイプだけで格子状に組めば、かなり頑丈な設備になると思います。
しかし、約1反という面積になると、必要な単管パイプやクランプの数が非常に多くなります。
当然、費用も大きくなります。
そこで、
強度が必要な部分には単管パイプを使い、広い面積を支える部分にはワイヤーを活用する
という考え方にしました。
これによって、使用する単管パイプの本数を抑えながら、広い面積に寒冷紗を張れる構造を目指しました。
設備全体は「両端・中央・ワイヤー」で構成
最終的に、今回の設備は大きく3つの部分で構成しました。
① ワイヤーを受け止める両端の骨組み
② 寒冷紗やワイヤーの垂れ下がりを抑える中央の骨組み
③ 両端と中央をつなぐワイヤー
まず、特に強度が必要になると考えた両端部分から紹介します。
両端は3m主柱+2m斜材+1m支柱で補強
長い距離にワイヤーを張ると、その張力を最終的に受け止めるのは両端の支柱になります。
そこで、3m単管パイプを1本立てるだけではなく、2m単管パイプを斜材として追加する構造にしました。
斜材の地面側には1m単管パイプを打ち込み、3m主柱と斜材、1m支柱で三角形を作るように補強しています。

今回の端部構造は、おおよそ次のようになっています。
| 部材 | 設計 |
|---|---|
| 3m主柱 | 約0.9m地中へ打ち込み |
| 主柱の地上高 | 約2.0m |
| 主柱の角度 | 地面に対して約85° |
| 2m単管 | 斜材として使用 |
| 斜材の角度 | 地面に対して約45° |
| 1m支柱 | 約0.7m地中へ打ち込み |
| 1m支柱の角度 | 地面に対して約85° |
角度については、85.0°を正確に測量して施工したという意味ではありません。
実際の施工では、鉛直から約5°傾けることを目安にしています。
完全な垂直ではなく少し傾けることで、ワイヤーを張ったときに支柱へ加わる力を受けやすい形を狙いました。
実際に施工した端部がこちら
設計をもとに、実際に施工した端部がこちらです。

図面にすると少し複雑に見えますが、実物の構造は比較的単純です。
3m主柱
↓
2m斜材
↓
1m支柱
を単管クランプで接続しています。
この構造を設備の反対側にも同じように作り、両端からワイヤーを支える形にしました。
実際に形になってみると、斜材を入れることで主柱1本だけの場合よりもかなり安心感があります。
中央部分は約2.3mまで高くした
両端の骨組みができたら、その間にワイヤーを張ります。
しかし、今回の設備は距離が長いため、両端だけでワイヤーを支えると、どうしても中央部分が下がります。
さらに、その上に寒冷紗を取り付けると、寒冷紗自体の重さも加わります。
そこで畑のほぼ中央には、3m単管パイプを約60cm地中へ打ち込み、地上約2.3mの高さになる支柱を設置しました。
さらに、その支柱同士を横方向の単管パイプでつなぎ、ワイヤーを中央部分でも支える構造にしています。
横から見ると、
約2.0m(片側の端部)
↓
約2.3m(中央)
↓
約2.0m(反対側の端部)
というように、中央部分だけ少し高くなっています。
中央を約30cm高くした理由は、寒冷紗を高い位置に張りたかったからではありません。
長い距離に張ったワイヤーや、その上に取り付ける寒冷紗が中央で大きく垂れ下がるのを抑えるためです。

この中央部分についても、実際に施工してみて重要な役割を果たしていると感じています。
2m幅の寒冷紗を複数列に分けて張る
今回使用する寒冷紗は、基本的に幅2mです。
畑全体を巨大な1枚のネットで覆うのではなく、2m幅の寒冷紗を複数列に分けて張る方法にしました。
2m幅の寒冷紗の両側をワイヤーで支え、それを何列も並べて畑全体を覆っていきます。
この方法にした大きな理由の一つが、風への対応です。
寒冷紗は面積が大きくなればなるほど、風を受ける面積も大きくなります。
特に台風や強風の多い地域では、畑全体を巨大な1枚の寒冷紗で覆い、常時張りっぱなしにするのは怖いと考えました。
そこで、2m幅ごとに分割しておけば、
必要に応じて寒冷紗を畳んで収納できる
構造を作りやすくなります。
【ここに寒冷紗を下から撮影した完成写真を挿入】
実際に下から見ると、2m幅の寒冷紗が何列も並ぶ形になります。
遮光率50%と80%の寒冷紗を用意
今回用意した寒冷紗は、遮光率が同じものだけではありません。
主に、
- 遮光率50%
- 遮光率80%
の2種類を用意しました。
50%だけにしなかった最大の理由は、前年の経験です。
前年の夏には、シキミにかなり強い葉焼けや枯れ込みが発生しました。
その経験から、
「50%の寒冷紗だけで本当に十分なのか?」
という不安がありました。
一方、80%では遮光が強すぎて、シキミの生育に悪影響が出る可能性も考えられます。
そこで今回は、50%を基本としながら80%も用意し、実際の畑で使用することにしました。
この判断が正しかったのかについては、実際にひと夏使用したシキミの状態を見ながら、別の記事で詳しく検証する予定です。
寒冷紗を「張る」だけでなく「畳める」ことを重視
今回の設備設計で、特に重要視したのが寒冷紗を収納できることです。
寒冷紗は夏の強い日差しからシキミを守ってくれる一方、強風時には大きな風圧を受けます。
その力がワイヤーや単管パイプに伝われば、設備そのものを破損する可能性があります。
そのため、
通常時は展張して遮光する
↓
強風・台風が予想される場合は寒冷紗を畳む
という運用を前提にしました。
そのためには、寒冷紗をワイヤーに完全固定してしまうのではなく、ある程度動かせる取り付け方法が必要です。
実際の設備では、寒冷紗用の吊りクリップなどを使用して、ワイヤーに沿って寒冷紗を展開・収納できるようにしています。
設計時には「強風時に畳めればいい」と考えていましたが、実際に運用を始めると、この開閉機構は想像していた以上に重要でした。
強風時の具体的な運用については、別の記事で詳しく記録する予定です。
最終的な設備の構造
今回作った寒冷紗設備を簡単にまとめると、
両端
→ 約2mの高さに3m主柱を設置し、2m斜材と1m支柱で補強
中央
→ 約2.3mの高さに単管パイプを設置し、中央部分を支える
両端から中央まで
→ ワイヤーを張る
ワイヤー上
→ 2m幅の寒冷紗を複数列に取り付ける
通常時
→ 寒冷紗を展張して遮光
強風時
→ 寒冷紗を畳んで収納
という構造です。
固定式の大掛かりな遮光設備ではなく、DIYで作ることができ、なおかつ天候に合わせて運用できる設備を目指しました。
設計段階では分からなかったことも多かった
ここまで書くと、最初から完成形をきれいに設計していたように見えるかもしれません。
実際はそうではありません。
「この方法ならいけるのでは?」
と考えて作り始め、実際に施工しながら変更した部分もあります。
資材を買い足したり、固定方法を変更したり、
「ここはもっとこうしておけばよかった」
と思った部分もあります。
特に寒冷紗の設備は、日差しだけを考えて作ればいいものではありませんでした。
実際に使ってみると、
遮光・風・強度・開閉のしやすさ・普段の農作業
を同時に考える必要があります。
このあたりは、実際に作ってみたからこそ分かった部分でした。
次回は「実際に購入した資材と総額」
設計が決まったら、次に必要になるのが材料です。
単管パイプ、クランプ、ワイヤー、ターンバックル、ワイヤークリップ、寒冷紗、吊りクリップ……。
約1反の畑に設備を作るとなると、思っていた以上に多くの資材が必要になりました。
少しずつ買い足していったため、施工している途中では、私自身も
「結局いくら使ったんだ?」
という状態でした。
今回、ナフコのレシートやネット通販の購入履歴を改めて整理し、実際に購入した数量と金額をほぼすべて確認することができました。
次回は、
「約1反のシキミ畑に寒冷紗設備をDIYすると、実際いくらかかったのか?」
をテーマに、
- 単管骨組み
- 張線設備
- 寒冷紗
- 開閉・固定設備
に分けて、実際に購入した資材・数量・金額・総額をまとめます。
計画段階の概算ではなく、実際に支払った金額をできる限りそのまま公開します。

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